韓国裏話(WEB記事)
<多い噂と臆測の中に無事に韓国の地を踏む!>
「ほんとうにくるだろうか」そんな憶測をする人達の小心な疑いを破って、BUCK−TICKは予定通りに韓国に、公演をするために着いた。さらにこの頃のような時に日本のバンドが韓国で公演することは絶対容易いことではないが、BUCK−TICKが日本のロックシーンで相当な立地のバンドであることを韓国と日本でみんな認めているおかげで、無事に公演が進んだ。
BUCK−TICKが仁川空港に着いたのは7月28日午前11時。既に空港には長い間前から待っていたファンが集まって、旗と垂れ幕を用意したままBUCK−TICKを待っていた。予想より30分も早く着いた飛行機で降りたメンバー達が手続きを終えて入国場を抜け出るために立っている姿が遠目が見えると、ファンはメンバー達の名前を一つずつ叫び始めた。去年プロモーションで韓国に来た時、既に一度体験していたことのようで、メンバー達は自身達に対する歓待に慣れたように応じながらプレゼントをどっさり受け取ると、迎えのバスはすぐホテルへ向かった。
去年とは違って、公演のために来たのだから公演のほかの予定はなかったが、メンバー達は去年よりもっとファンを気配りする姿を見せた。例えばファンの歓呼になかなか反応しなかったイマイが手を振ってくれたり、車窓外のファンに挨拶し続けてくれると言う気遣いをしてくれる。嬉しくなるファン、それからそんなファンにありがとうの意志表示するメンバー達を見ながらやはり「音楽に国境はない」という生真面目なかけ声が浮き上がった。
<おびただしい雨とファンの歓呼で特別だった韓国での初公演>
BUCK−TICKのコンサートは7月29日。3日間開かれるSOYOロックフェスティバルの最後の日だった。ところが今度のフェスティバル期間は、よりによっておびただしい暴雨が降った短い梅雨期間とちょうど日が合ってしまって公演に多くの手違いがあった。
舞台が壊れて、雨に因ってリハーサルと舞台セッテング、リハーサル、公演時間が変更されて…韓国に着くやいなやコンサートホールに行って状況を点検したBUCK−TICKの足取りはかなり心配そうだった。もしや公演が取消されたりする最悪の状況までも心配するしかないほどすべての状況が予定と違うように進んだ。
公演当日にもやはり、朝には少し晴れると思っていた天気が時間が経つほどまた意地悪くなり始めた。ついにはメンバー達がコンサートホールに着くと急にもっと強くなる雨足だなんて!結局はリハーサルをあきらめなければならなかったし、その代わり日本から直接持ち込んでいた装備をはっきりセッテングするだけで公演準備を終えるしかなかった。17年のバンドの歴史の中でリハーサルなしに公演することは初めというBUCK−TICKだったが是非も無い状況を理解してすぐ公演準備に入った。
一眠り程度の休みの後、BUCK−TICKメンバー達は公演のための準備をみんな終えた状態でNUTCAST(主催テレビ局の名)とインタビューをした。今まで多くのミュージシャン達、ロックバンド達とインタビューをやってみたがBUCK−TICKのように真剣で物静かな雰囲気のインタビューは初めだった。ときどき笑いが出る中インタビューを終えると、いつの間にか公演時間が近くなっていた。
珍しくもBUCK−TICKがコンサートホールに行く準備を終えると、インタビューする間の暫く少なくなるかと思った雨足はまた甚だしく太くなった。やはりBUCK−TICKは雨男だったのだ!
どうしても雨のため装備セッテングに少し時間がかかった。待っているメンバー達も、観客達も「もしかしたら急に公演が中止されるのではないだろうか」と苛立ち始めた頃に逐に公演の始まり!
独特なヘアスタイルのドラム、ヤガミトールが舞台に上がってその後にメンバー達が順に舞台に上がった。既にBUCK−TICKを乗せた車両がコンサートホールに入った瞬間から声を上げたファンはメンバー達が姿をさらけ出すとすぐ沸きかえり始めた。
まるでBUCK−TICKの単独コンサートホールのようにみるみる客席の雰囲気は変わってしまったのだ。後で知った事実であるがこの時客席ではわが国のファンと100人が越す日本人ファンが競争していて殺伐としていたそうだという。
今度の公演でBUCK−TICKは「Baby、I WantYou」「惡の華」「Chaos〜キラメキの中で…」「Iconoclasm」「唄」「Rhapsody」「鼓動」「Ash-ra」の八曲を演奏した!最近の曲が大部分だと思ったが、意外にとても多様な選曲?で、韓国での初コンサートに自身達の過去から現在までをひっくるめて多様な曲を聞けるように選んだ曲だと言う。とくに、1990年に発表したシングルである「惡の華」のような曲は最近5年余の間公演で演奏したことがない曲だからファンは特に嬉んでいた。
BUCK−TICKが舞台に上がる時には、雨は少し太く激しいが普通程度の水準だった。けれども二曲目の曲が終るとろくに目を開けていられないほどとてもひどい雨が降り始めたし、結局BUCK−TICKが最後の曲を終えるまで全然その勢いは減らなかった。
公演をする人も、公演を見る人も絶対やりやすくない状況。けれどもBUCK−TICKはモニタースピーカの音さえろくに聞こえない劣悪な状況でも素晴らしい公演を見せた。舞台の前に出ていた三人のメンバー、アツシ、イマイ、ホシノは雨水で滑りそうな舞台で雨のシャワーに打たれながら演奏をした。とくにボーカルであるアツシは雨を利用して多くのパフォーマンスを見せた。普段雨が好きだとは言うけれどもそれでもこの雨は「楽しめる」くらいの水準を越していたのであるが、気にしないで素晴らしいステージングを見せたからファンはスペシャルライブを見たわけだ。とくに、アツシが空に手を伸ばすと、まるで演出された状況のように雷光が振りそそぐだなんて!!!
BUCK−TICKはこの日演奏した曲の中で、唯一の英語の詞である「Iconoclasm
」で「Five For Japanese Baby」という歌詞を「Five For Korean Baby」と変えて歌って韓国ファンに格別の感動をくれたりした。それから「Rhapsody
」を皮切りに十分BUCK−TICKらしいながらも容易に人達が沸かせる美しいメロディを演奏したし、やはり観客達はみんな盛り上がった。元来BUCK−TICKを見るためにきたファンよりもっと多くの観客が体を振って声を上げたし、雨に打たれたまま公演を見た。むしろ強い雨足が人々をもっと刺激したのではないだろうか?そうBUCK−TICKの韓国公演は完璧な「雨中公演」で素晴らしい感動を残した。
<余りにも人間的な舞台外のBUCK−TICK>
意外にもBUCK−TICKの舞台が終るやいなや雨が止み、フェスティバルが終る時まで、コンサートホールには雨のひと雫も降らなかった。この雨男集団のおびただしい威力を実感するしかない。BUCK−TICKメンバー達も、こんなにたくさんの雨に濡れながら公演をしたことも、リハーサルが出来なくて公演をしたことも初めだといって韓国での初公演には特別の感慨を受けたようだ。
けれども何よりも一番記憶に残るのは韓国ファンの歓呼。公演が終ってからメンバー達は「まだ公演も一度しなかったしCDも発売できなかった韓国から、私たちの公演を見るために多くのファンがきてくれて本当にありがとう」という話を残した。BUCK−TICKは自身達の日本ツアーの時に韓国ファン達が公演を見るために来るということも知っていた。空港から熱狂的な様子を見て嬉しがってくれて、コンサートホールで一緒にすっかり雨に濡れながら自身達の公演を輝かしたのでも足りなくて、出国空港にまでまたハンボタだろうプレゼントを上げて出たBUCK−TICKのファンにありがたい心が入るのは当たり前なことかも知れない。
3日間、BUCK−TICKメンバー達と一緒に過ごしながら感じた点は「やはりBUCK−TICK!」という簡単な感歎詞で片づけられそうだ。毎年相次いで新人バンドが発生する日本のロックシーンで、20年に至る期間の間「巨匠バンド」という呼称が得られたのは彼らの謙遜さとプロらしい態度ではないかと思う。
BUCK−TICKに直接会う前までは、そのくらいの経歴と名声があるのだから、ある程度メンバー達の横柄さを覚悟していた。けれども実際に会った彼らは余りにも静かで親切で謙遜な人達だった。自身達の音楽と公演にあっては徹底的であるが、常にはありがたいほどに足手まといになる筆者を気配りしてくれたし、とくに酒席では余りにも心安い姿と対話で親しさを見せた。
韓国にきた初日のBUCK−TICKはとても真剣で物静かだった。どうも公演前日だからとても慎重になっていたらしい。公演があった日は雨のため公演が取消されるのではないだろうかとても心配していた。メンバー達がこれに対してどんなに心配したかはインタビューでメンバー達が一様に「公演が無事に成功してほしいです」という話しをしたのを見てもとれる。
そう心配した公演を無事に終えてからには「逐に韓国で公演をした」のにとても喜ぶ雰囲気だった。おかげさまで公演の後の打ち上げの席ではまた韓国公演を無事に終えることを自ら祝うとともに、後にはもっと素晴らしい韓国公演を見せようと言いながら盛り上がる雰囲気だった。
参考ながら、BUCK−TICKは今度の韓国公演を終えて新しいアルバム作業に入る予定であり、来年4月には日本ツアーを始める計画であるが、同じ事ならこの時に合わせて韓国でも公演を期待している。
日本のファンさえ「日本でも見られないほど大変だった素晴らしいライブ」といいうらやむほど印象的な公演を見せたBUCK−TICK。事実、今度の公演には純然と天気だけを咎められない大小の問題があった。「BUCK−TICKサウンドというのはこういうものだ!」と強いインパクトを与えられるほど確実なサウンドが演出ができる状況でもなかったが、彼らの熱意とキャリアを見せて長い間待っていたファンの願いを適えて余りある不足のない公演だった。また日本ロックミュージックの一部分を象徴するBUCK−TICKの来韓公演は韓国と日本の音楽的交流にあっても大きい意味があったと思う。
総括するが…そんな政治的外交的問題を発したBUCK−TICKの今度の公演は「最悪の状況でも最善をつくして素晴らしいライブをした」ことに一度感動を受け、「韓国のファンのために体を惜しまない熱情」に二度感動を受け、「余りにも人間的なオフステージでの姿」に最後に感動を受けた素晴らしい経験だった。
文章/ハンフィジンspider@nutcast。com
撮影・編集/キムテギュンTGK@nutcast。comオヒョンジュ(unamin@yahoo。co。kr)